
ギフチョウ

特徴
5〜6 cmほどの大きさで、羽根に黄白色と黒の縦じま模様を持つ。中でも、「Y」の字の模様が特徴的。後の羽根の外側には、鮮やかな青や橙、赤色の斑紋が並ぶ。
早春のひとときしか見られないことから「春の妖精」といわれている。木漏れ日の中を優雅に舞う姿は、妖精の名にふさわしい。早春に咲く、カタクリ、ショウジョウバカマ、サクラ、スミレなどの蜜を吸う。
メスは、カンアオイの若葉に卵を産みつける。数週間後に幼虫がかえり、カンアオイの葉を食べて育つ。1ヶ月ほどで蛹になり、落ち葉に隠れて翌春に成虫になるまでを過ごす。
生息場所
高床山では雪解けのいっとき、3週間くらいの短い期間だけ舞う。例年、ゴールデンウィーク前頃が見ごろ。天気の良い日の午前中、高床山キャンプ場の展望台から尾根伝いに鳥坂城跡に至るまで、正味歩いて30分弱の間、運がよければ何頭ものギフチョウに出くわすことができる。ただ、なかなか止まってくれないので、写真に納めるのは至難のワザ。
キアゲハとの違い
同じころにキアゲハも飛んでいるが、目がなれてくるとキアゲハは少し大き目で、動きが早く、黄色みが強いため、一目でそれとわかる。主な見分け方は、次の3点。
@止まった時に「Y」の字の模様が確認できればギフチョウ、そうでなければキアゲハ。
A飛び方が優雅なのがギフチョウ、動きが早いのがキアゲハ。
B羽根の端が丸みを帯びているのがギフチョウ、羽根の端が尖っているのがキアゲハ。
保護活動
日本の固有種で、本州の秋田県南部から山口県中部にいたる26都府県で確認されている。しかし、昨今の自然環境の急激な破壊や変化により、生息域は狭まり、数も減少している。環境省の示す「レッドデータブック」で、絶滅危惧種に指定されている。東京都と和歌山県ではすでに絶滅したとされている。
高床山のギフチョウは、たくさんの地元の人たちの活動で保護されている。
姫川原小学校…全校生徒で高床山の自然環境を守るために、下草刈りなどの活動を行っている。中でも3年生はギフチョウに関する学習と保護を訴える看板の作成を行っている。
鳥坂城跡保存会…戦国時代の山城である鳥坂城跡を見学できるよう、雑木の伐採を30年前から継続的に行っている。その結果、ギフチョウが住みやすい環境が守られている。
里山保全クラブ…高床山キャンプ場を中心に周辺の雑木を伐採し、荒れた里山の環境復元を図っている。
これら3つの団体の活動が、高床山のギフチョウを絶滅の危機から守っている。
また、高床山のギフチョウは妙高市の文化財に指定されている。捕獲すると文化財保護法で罰せられる。
あなたは
を知っていますか?
イラクサ科の多年草。葉は青シソのような形・色をし、葉の裏側は白っぽい。茎はまっすぐ延びて、8月頃には1.5メートル以上になる。茎の皮を剥いで表皮を削ぎ落すと、白っぽい繊維が採れる。その繊維で織られた織物が越後上布で、平安時代に織られたものが東大寺正倉院に保管されているのが有名である。
時代は遡り、上杉謙信の時代に越後で栽培が盛んになり、上杉家に膨大な利益を生み財政を支えた。江戸時代になっても、越後で青苧栽培が盛んに行われていたことが、古文書から分かっている。
姫川原麻苧田は、この地で青苧栽培が盛んに行われていたことを物語る地名だろう。麻苧田だけではなく、高床山からその麓にかけて青苧がいたるところに自生している。
姫川原小学校では採取した青苧で卒業証書を作っている。


